旅人と思われないようにしよう!

私は、ドイツ滞在中にいろいろな国、都市、街を観光しました。
その都度、毎回といっていいほど、同じ旅人からある言葉を掛けられました。

「○○へはどうやって行ったらいいですか?」

「へっ?」です。
まさに、「へっ?」です、、、。
勿論、知っている場合はお教えしますが、知らないときは、

「すみません、私も観光客なんです。」
と云います。

すると、相手の方は、
「え、そうだったの?」
という表情で、少し驚かれます。

なぜ、彼らは同じ旅人で、その地に不案内であるはずのある私に道を尋ねたでしょう。

あなたは道に迷った時、誰に聞きますか?
その地に在住している、現地の人に聞きますよね。

そう、私は“現地の人”に間違われたのです。

それでは、なぜ、彼らは私を“現地の人”と勘違いしたのでしょう。

それは、私が余りにも、ラフな服装であったことと、
あまりキョロキョロせず、颯爽(さっそう)と街を闊歩していたこと、
雰囲気が現地の人に馴染んでいたからでしょう。

トラブルに巻き込まれない第一歩は、旅人に見られないこと、
つまり、現地に溶け込め、ということです。

そのためには、幾つかの対策があります。


まず、第一は、「おしゃれはしない。」こと。

旅、となると、とくに女性は、お気に入りの服、一張羅を選びがちです。
旅用に、新たな服を購入される方もいるでしょう。

しかしそれは、「私は観光客よ」と、宣伝して歩いているようなものです。

私も一応女性なので、旅先でおしゃれして闊歩したい気持ちはよく分かります。
私も、以前はそうでした。

旅先での服装は、
動きやすいこと、着慣れた普段着、履き慣れた靴、
アクセサリーは普段身につけているもので、安物にする。

決して、“本物の石”がついたものは着けないで下さい。

ちょっと地元のデパートに買い物に行く、そんな感覚で服装を選んで下さい。
洋服が大好きなおしゃれさんは、ちょっと近所のスーパーや
コンビニに行くつもりで服を選んで下さい。
ちょっとダサいかな、昔買って今はあまり流行っていないな、くらいが丁度いいのです。
旅が終わって、帰国前に捨ててもいいかな、くらいの服でもいいです。

ドイツに滞在していて、とくに観光シーズンになると街は観光客で賑わいますが、
日本人は一目見て、直ぐに分かりました。
それは、周囲に比べて、かなりおしゃれだからです。

ドイツ人におしゃれな人があまりいない、というもの一つの要因ですが、
他の国の観光客の方は、“普通の服装”の人が多いのです。
家でくつろいでいるような、かなりラフな格好の人もいます。

ヨーロッパはおしゃれな人が多い、おしゃれな街が多い、
ファッションの街、なんて先入観は捨てて下さい。

私はパリやロンドンにも行きましたが、
ファッション雑誌に載っているようなお洒落さんは殆ど見掛けませんでした。

勿論、格式の高い場に行く場合は別です。
その時は、別に着替えを持って行くか、
普段着用のジャケットや、上着を着て、正装をカムフラージュするか、
一旦ホテルに戻って着替えるなどしましょう。

教訓:「旅は普段着で」
これ、鉄則です。


第二に、「ガイドブックを道端で開かないこと」。

道に迷った時、お店などを情報を調べたい時、ガイドブックを開きます。
しかし、ガイドブックというのは、表紙を見れば外国語が分からなくても、
ガイドブックだと悟られやすいのです。

それは、ガイドブックの表紙はたいてい、
街や国の絵や写真が使われているからです。

まず、ガイドブックだと悟られないために、必ずカバーをして下さい。
本屋さんで購入する時、「カバーをして下さい。」と云って下さい。
長期の旅になると、紙のカバーは破けてしまうので、
ビニール製か、厚手の画用紙、または紙を二重にするなどの対策をして下さい。

そして、ガイドブックを開く時は、建物内か、
建物の入口付近、道の端っこで見て、表紙側を人がいる方に向けて、
本の中身を見られないようにしましょう。

決して、外で歩きながら見ないで下さい。

やむを得ず、外で開く場合は、なるべく人に見られないように、
少しだけ開いて、中身を見られないようにしましょう。

私はいつも、1つの観光地を見学し終わったら出口付近でガイドブックを開き、
次の目的地、または交通機関をチェックして、それを頭の中で連呼しながら歩きます。
そして、移動中の電車やバスの中では、いかにも「留学生」風を装って、
勉強しているような振りをしてガイドブックを見ています。

ちょっとした意識の違いで、旅人と見られないものなのです。

教訓: 「ガイドブックをガイドブックだと悟られないようにしよう」


第三は、「お土産袋は別の袋に入れ替えよう」です。

犯罪者は、金目のものなら何でも狙いを定めます。
とくに、高級ブランド品などはお財布の入ったバッグ同様、狙われる率が高いでしょう。

お土産屋やお店で入れてくれる袋は、
店名やブランド名が大きくプリントされていることが殆どです。

これは、
「私は高級品、またはお土産を持った観光客です。」
と宣伝して歩いているようなものです。

お土産を引ったくられないためには、予め、 別の袋を用意しておく必要があります。
布製で、普段使い慣れている、少し大きめのもの
であれば、なんでもいいです。

お店で商品を購入したら、店内で持参の袋に入れ替えましょう。
あるいは、持参の袋に入れて下さい、と店員さんに頼むのもいいでしょう。
店の外で入れ替えるのは危険なのでやめましょう。

持参の袋であれば、お土産袋を幾つも抱えることもないし、
お土産だと悟られることはありません。

これは是非とも実践して頂きたいです。

教訓:「お土産は持参の袋に入れ替えよう。」


これらの「観光客と見られないための3か条」を、少し大袈裟だと思われましたか?

「自分だけは何があっても、犯罪に巻き込まれない」
などという、確証のない自信が一番危険です。
住み慣れた日本でも、いつ犯罪に巻き込まれるが分かりません。

旅を楽しみつつも、犯罪者はすぐ後ろにいるかもしれない、
という緊張感を持って行動して下さい。

「明日は我が身」、です。



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