無理をして現地の言葉で会話をしない

旅にガイドブックは付き物です。
一人旅となれば、唯一の旅のパートナーはガイドブックです。

そんなガイドブックを見ていて、毎回不思議に思うことがあります。

それは、「旅行会話」の例文です。

果して、このマニュアル会話は本当に旅に必要なんでしょうか、、、、?

そこで、もしガイドブックに掲載されている「旅行会話」の例文を実際に使ったら、
こうなるであろう事例を、私なりに想像してみました。


ジロウくんは生まれて初めての一人旅で、ドイツに来ています。

彼は地元の郷土料理を食べさせてくれる有名なレストランに居ます。
ガイドブックを見ていると、ふとあるページに目が止まりました。

“旅行会話-ドイツまで来たからにはドイツ語に挑戦してみよう!”
(これは私が実際に所持しているドイツのガイドブックに掲載されている文句です。)

(おお、そうだ!折角ドイツに来たのだから、ここはドイツ語で話し掛けてみよう!)
ジロウくんは早速ガイドブックに載っているレストランでの基本会話に挑戦してみることにしました。

「Was empfehlen Sie?」
と、ジロウくんはウェイターに質問してみました。
(これは私が実際に所持しているドイツのガイドブックに掲載されている例文です。)

すると、ウェイターさんは、
「Also, ich kann Ihnen ein spezielles Gericht empfehlen.」
と答えました。

ジロウくんは、折角ガイドブックに書かれているようにドイツ語で挑戦したのに、
ウェイターさんの返事を理解することが出来ませんでした。


当然です。
ジロウくんはドイツ語に全く知識がないのですから、、、。

あなたは分かりますか?
(ドイツ語に精通している方は別として。)

ちなみに、ジロウくんは、
「何かお勧めはありますか?」
と訊き、
ウェイターさんは、
「それでは、特別な料理をご紹介致しましょう。」
と云いました。

私はこれがドイツ語だから理解出来ます。
もし、イタリア語やフランス語なら当然理解出来ません。
突然理解出来たらミラクルです。

では、今度は逆の立場で想像してみて下さい。

あなたは街中で一人の外国人の旅行者に話し掛けられたとします。

「渋谷はどうやって行ったらいいですか?」
たどたどしながらも、その旅行者は日本語でそう質問しました。

「次の信号を右に曲がると地下鉄の駅があるので、銀座線に乗って下さい。」
とあなたは答えるとします。

それでは、何語で答えますか?

私なら、“日本語”で返答します。
何故なら、相手が日本語で質問してきたからです。

殆どの方が、日本語で訊かれれば、反射的に日本語で答えると思います。
日本語で訊かれた=その人は日本語が理解出来る
と思うのは、当然ではないでしょうか?

先程のジロウくんの例もそうです。
ウェイターさんは別に意地悪でドイツ語で返答したわけではありません。
ジロウくんがドイツ語で話し掛けてきたので、ドイツ語で返事をしたまでです。
ウェイターさんは、ジロウくんがドイツ語が出来ると判断したのです。

中には、英語圏以外の国で、現地の言葉で質問、話し掛けられても、
気を遣って英語で返答される人や、英語で話しましょうか?と聞いてくる人もいます。

このように、会話とは、「相互理解が出来て初めて成立する」のです。

時に相手の方は、英語で云うべきか、自分の国の言葉を使われたのだから、
こちらも同様にすべきか、迷うかも知れません。

“5W1H(いつ、どこ、何、なぜ、誰、どのように)”を使う質問は、
相手の返事、解答を期待するものです。

相手の返事を理解出来ない場合、無理をして外国語で質問するのはやめましょう。

では、もし何か質問せざるを得ない状況の場合、どうしたらいいのか?

それは次のコーナーでご説明致します。

教訓:「現地の言葉を使うのは、必要最低限の時だけにしよう」



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